「メンタルヘルスとセロトニンの関連について」                 

昨今企業などの競争化が進む中リストラ、転勤、仕事の増量など働く者にとって厳しい現実とともにストレスがのしかかっている。

また、夫婦間の関係や子育て、対人関係など様々なストレスが我々を襲っている。そんな中うつ病と呼ばれる状態の人々も少なくなくむしろ増加の傾向をたどっている。

うつ病とは気分障害の一種であり抑うつ気分、不安、焦燥、精神活動の低下、不眠などを特徴とする精神疾患でありあまり生活に支障をきたさないものから自殺企図など生命にかかわる重症例まで存在してうつ病を反復する症例では20年間の経過観察で自殺率が10%程度だと報告されている。

また生涯のうつ病にかかる率は115%ぐらいであり子供にも起こりうる。12歳未満では2%程度、12歳から17歳では8%と言われている。

この病気の厄介なところは治ったと思っていても再発するところで50%は再発する。

また我々医学生もうつ病で自殺する者がおりひとごとではないのである。

今回私はこの病気を調べる上でセロトニンと呼ばれる物質を中心に調べることにした。

セロトニンで作動する神経細胞(セロトニン性神経細胞)は中脳と延髄の間にある縫線核を源として、その神経線維は脳幹部や大脳皮質とつながっており、セロトニン性神経細胞は青斑核に直接神経線維を送り、ノルアドレナリンの活性を抑制している。

ノルアドレナリンとは活動意欲をわきたてるものなので抑制するとうつ状態になると考え、またセロトニン性神経細胞は大脳辺縁系の直接神経線維を送り、不安・恐怖といった情動のコントロールに参加している。

すなわち、セロトニンを放出させる物質は不安をかきたてる。その為関わりが深いのではないかと思いこのテーマにした。

それでは今回読んだ文献の概要を述べていく。

うつ病というものがどの様にしておこっているか今回精神科治療学20巻を読み述べる訳だがうつ病は脳血管障害後に発現することが多くつまり直接的な脳損傷がうつ病の引き金になっていると考えられている。

さらに脳病変が左半球の前頭に近い程うつ状態の頻度も重症度も高いことがロビンソンらによって報告された。

しかしながらメタ解析した結果左前頭部のみならず特定の病変部位とうつ病との関連は見出せなかったと述べている者も少なくない。

これに対し研究の観察時期の違いに注目し脳卒中後急性のものは左前頭部病変と関連し慢性の場合は右半球及び後頭極との関連を主張するとともに前者は生理学的要因、後者は社会機能障害やADL障害との関係性を仮説として提唱しているがまだまだ検討段階のようだ。

私はそんな中のちの文献を読みうつ病とセロトニンの関連性を考えた。

現在うつ病と認知症の関連も考えられており実際簡易精神機能検査(MMSE)を用いた認知障害の検討も行われた。

そこでは脳卒中後のうつ病患者と非うつ病患者の比較で認知障害に有意差はないと報告されたが脳卒中後の急性患者276例の検討でMMSE得点とうつ病重症度の間には有意な相関があり大うつ病患者は他に比べ有意に認知障害があることが分かった。

また、病変部位との関連もWilsonらによる奇特な言語障害のなく左または右半球に単一病変を有する53例の脳卒中患者を対象にMMSEではない9種類の神経心理学的検査を行った結果認知障害者は右半球でなく左半球に病変がある方が大うつ病患者に認められ、その認知障害は言語機能に影響されたものでないことが明らかになった。

次に左半球そのものが認知障害と関連しているか、うつ病がより認知障害と関連しているかを調べるため左半球病変の部位を一致させた13組の大うつ病患者と非うつ病者を比較し、大うつ病郡が非うつ病郡に比べ有意に認知機能が障害されていることを示した。

結果、左半球病変そのものが認知障害と関連しているわけでなく左半球病変による大うつ病が認知障害を引き起こしている可能性を示唆した。

また、うつ病と認知障害の縦断的関係においては、うつ病が認知障害からの回復を抑制することや認知障害があるとうつ病が長期化することなどが示されており両者の相関関係においては、脳卒中後からの時間経過によって減少することが示されている。

その他、脳卒中後の認知障害は、病変の大きさとの関連が指摘されており、全脳に対する病変の大きさが10%以下では大うつ病患者が非うつ病患者に比較して認知機能がより障害されていたが10%を超えるとうつ病の影響がなくなることを明らかにした。

以上の結果より、PSDと認知障害との関連は病変部位の大きさや脳卒中後の期間に影響され、単純な左半球病変だけではなく、また単純な大うつ病だけではなく、左半球病変による大うつ病によって引き起こされる特殊な生理学的状態が認知障害の原因になっている可能性が示唆されている。

ここまででうつ病と認知症の関連を述べたわけだがここから先はセロトニンと認知障害またうつ病との関連を述べていく。

モーリスらはPETを用いて26例の脳卒中患者の皮質における5HT2受容体とMMSEによる関連を検討した。その結果左前頭葉の5HT2受容体結合が低下するほど、MMSE得点が低下することを示し、セロトニン機能と認知機能が強い相関のあることを報告した。

またPSDにおけるうつ病の重症度は左側頭葉皮質の5HT2受容体結合と負の相関を示すことを報告している。これらの結果から認知障害は前頭葉のセロトニン作用が一部介在し、うつ病は側頭葉のセロトニン作用が一部介在しているということが考えられているようだ。

しかしながら、まだ確固としたものでなくさらなる検証を必要とされている。

少しテーマは変わるが、うつ病などの心の状態によって引き起こされる、或いはメンタルヘルスに関連した心の病態についても調べた。

今回はclinical neuroscience 20巻5号を読みその内容についてこれから概要を述べていこうと思う。

議題となっているものは摂食障害でありこの病気は減量目的のダイエットや、ストレス反応としての食欲低下や消化器症状を契機に発症する場合が多いようだ。

とはいえ、ダイエットは若年女性の間では広く行われているし、心理社会的ストレスも避けることが難しいなか摂食障害(AN,BN)が発症するのは一部である為、心理社会的な、あるいは生物学的な素因や感受性、脆弱性が発症に重要な役割を果たしていると考えられている。

摂食障害の生物学的な病因の研究は身体的な異常所見が見つかっても、低栄養状態や低体重、食事制限などの2次的な変化を除外しなくてはならない為、大変困難である。

もちろん2次的な変化であっても、病態の形成や持続の上で何らかの役割を果たしている可能性はあり、また病状に依存しない特異的な異常を見つけるために、摂食障害から回復した人を対象とする研究が試みられている。さらに病状の影響を受けない遺伝子の差異が探索されている。

ここでは神経伝達物質あるいは神経ペプチドの変化、遺伝子解析研究、脳画像解析研究の3つに絞って最近の知見を述べてあった。

まず、神経伝達物質あるいは神経ペプチドの変化についてだが、脳脊髄液中の変化をみた結果、セロトニン(5−HT)に最も注目をおいた。5−HTは摂食調節に重要な役割を果たす神経伝達物質で、5−HT神経系の刺激は満腹感を増殖させ、5−HT系の抑制は満腹感を減弱させ食欲を亢進する。

ANでは低体重期に脳脊髄液中の5−HTの代謝産物の5−HIAAの濃度が低下し、体重回復後、長期間を経た患者では逆に上昇している。

BNの既住歴を持つ人に5−HTの前駆体であるトリプトファンの欠乏状態をつくると、気分の落ち込みや身体像へのこだわり、摂食のコントロール感が出現する。

5−HT再取り込み阻害剤が、BNの無茶食いやANの回復後の体重維持に有効である。

これらのことより5−HT系の機能異常が摂食障害への脆弱性や病態に関与しているものと想定されている。

その他の物質としては、視床下部ホルモンであるCRHは下垂体に作用して副腎皮質刺激ホルモンの分泌を刺激するのみならず、脳内の神経伝達物質としてストレスによる摂食抑制などに関与している。

AN患者では低体重期に脳脊髄液中のCRH値が上昇し、体重回復後には正常化する。CRHはAN患者にみられる摂食抑制や過活動、性的活動の減少、抑うつ症状と関連している可能性がある。

ガラニンは視床下部室傍核に作用し、食欲、特に脂肪の摂取を刺激する。体重や規則的な月経が回復し、無茶食いや排出行動が消失して1年以上経たAN患者では、健常対象者に比して脳脊髄液中のガラニン濃度が減少しており、AN患者にみられる食事制限や脂肪食の回避との関連が示唆されている。

CCKは食物摂取に反応して胃腸から分泌されるペプチドで、脳に満腹感を伝えるシグナルの一つである。CCKの投与は食事摂取を抑制する。

BN患者では食事負荷に対するCCKの反応が低下していること、脳脊髄液のCCKレベルが低いことが報告されており、BN患者が食事摂取後も満腹感が得にくいことに関連している可能性がある。遺伝子解析研究については、摂食障害の家庭内集積や双生児研究から、摂食障害への羅漢感受性が重要な役割を果たしていることが示唆されている。

一卵性双生児と二卵性双生児における摂食障害の一致率を比較した研究から、ANの遺伝率は50―90%、BNの遺伝率は35―50摂食障害への感受性遺伝子座を検索するために、羅患同胞対解析が複数の大学の共同研究グループで進行中であり、その結果が待たれる。精神機能や摂食調節、エネルギー代謝等に関連した相関研究も多数行われている。

そのうち、有意な関連が報告されたものは、セロトニン、エストロゲン受容体、UCPなどがある。

最後に脳画像解析研究については脳の形態的研究はANに関する研究がほとんどであり、極度の低体重期には大脳皮質の萎縮と脳室の拡大がみられる。

脳の形態的変化が摂食障害患者における神経心理学的機能と関連する可能性も示唆されている。私はこれらの文献、また授業中をみて非常にうつ病の難しさを感じた。ビデオでもいっていたがそもそもうつ病の原因となるストレスが目に見えないことが予防の難しいところである。

また、人の感じ方によってストレスの度合いも変わるため測ることでさえ困難である。最近では、唾液のアミラーゼからストレスを測れるなど発達はしてきているがこの競争社会や高齢化による若者への負担が増える中、更なる発達をしなくてはこの病気が増えるとともに予防もしにくくなると思う。

しかしながら、私はある程度のストレスは必要だと考え、現在部活で重要な立場に私はおかれているがストレスがかかると同様にやりがいも感じている。

ビデオによると危機に対してコルチコイドやアドレナリン、ノルアドレナリンなどのストレスホルモンが出され、活動を活発にするようでそこから考えても私の意見は正しいように思われる。

文献を読む限り重要な鍵はセロトニンであり、うつ病は側頭葉のセロトニン作用が一部介在していることや認知障害は前頭葉のセロトニンが介在していることを一刻も早く証明していただきたい。

そうすることで、側頭葉を賊活するSSRIが使えるかもしれないし、また大うつ病と認知障害をともにもっているものには前頭葉を賊活するドーパミンが使えるかもしれないからだ。

とはいえ文献を読む限り、様々な理由から実験することも証明することもとても困難に思われ、仮に私が医者となってもこのことを解明するならずっとこのことをしらべなくてはならないようだろう。

摂食障害についてもさらなる研究が必要であると考えるがこれもまた困難であり、心理的なものから発症する病気はこれから以後今以上力をあげて調べていただきたい。

私は、医者として患者を診ると同時に会社などでの予防策も述べていきこの病気に立ち向かわなければならないと考える。